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創作における「ループもの」について

 ループもの、好きですか?僕はあまり好きではないです。世界を改変すればする程事態は悪化するけれど、ラストで結局救われるってのが気に食わないんですよね。

主人公が平行世界に取り残される、というBADエンドも出発点の世界を救っていたりするので、本当に胸糞で落とす創作って意外と少ないのでは?と度々考えます。単純に僕が浅いだけかもしれませんが。


 僕は「シュタインズゲート」があまり好みではないです。
ゲーム版やらには一切手を出していないアニメキッズの僕だけれど、どうしても「タイムマシン」という絶対的な存在に依存していることがどうも胸に引っかかる。

 中盤の主人公がどちらか一人のヒロインを助けるともう一人が死ぬ、という死の選択を迫られる展開は私のお気に入りで、全話視聴した後も勿論面白いと感じたけれど、何故か腑に落ちなかった。
 確かにタイムマシンは気に入らないけれど、「BTTF」シリーズなんかは好きなんですよ。僕がただのコメディ好きというのもありますが、どうもモヤモヤする。

自分でももはやなにが不満だったのか忘れる程のループものに対しての問い、それが「バタフライ・エフェクト」と出会ったことにより僕なりの解答が出た。

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感動ポルノ「アイ・アム・サム」を観て吐いた話

アイ・アム・サム

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 今月の頭にBS12で放送された「アイ・アム・サム」の録画を消化したのですが、胸が気持ち悪い空気でいっぱいになってしまったので、ここで吐き出せさて下さい。前知識としては、障害がテーマらしい、ネットでの評価が高い(yahoo映画4.2/5)という点は知っていて、あらすじは全く知らない状態で鑑賞しました。

 

 ざっくりあらすじを説明すると、知的障害を抱える父「サム」が、ホームレスの女が出産した娘と、二人で生活することになります。(母は、開始早々「子供なんて欲しくなかった」と、出ていきます。)

なんやかんやあって7歳になったルーシー(クソ忙しい育児の時期は飛ばされ)は、サムの知能を追い抜いてしまします。それをみかねた地域のソーシャルワーカーが、サムには父親としての能力が足りないとして、ルーシーは施設に送られ二人は離れ離れになってしまいます。はたして、サムは愛する娘を施設から取り戻すことが出来るのか!?というのが大まかな流れです。
 いくつかひっかかったポイントがあるので、順を追って説明します。

①変に都合が良いせいで、社会派映画ではなくただの感動ポルノになっている

 前半は、やはり知的障害の壁がサムに立ちはだかり、暗い場面が続きます。娘がサムに気を遣って文字が読めないふりをしたり、弁護士がとりあってくれなかったりと、冷たくも現実的なシーンが続きます。

 個人的に、障害をテーマにした映画で感動モノだと「チョコレートドーナツ」とかは好きなんですよ。そちらはゲイのカップルが育児放棄されたダウン症の子どもをひきとるものの、やはりソーシャルワーカーに引き離されてしまうといった物語なのですが、「楽しいシーンは楽しい」んですよ。ラストは滅茶苦茶暗いものの、障害を抱えた本人が二人と触れ合うことで、ポジティブな気持ちになったり、成長する過程がしっかりと描かれています。

 

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映画「若おかみは小学生!」考察 何故おっこはメンタルが鬼強いのか?

若おかみは小学生!

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 SNS上で本作が話題になり始めた頃、新宿バルト9での上映は一番小さいスクリーンで午前の一上映のみと、鑑賞が非常に困難でしたが、ふとHPを確認するとドでかいスクリーンで一日六回の上映に増えているではないか。これは足を運ばない理由がない。

 上映前はプリチャンの映画を観にいくようなテンションでした。が、余りにも児童書の映画化とは思えない暗いストーリーが始まり、完全に出鼻を挫かれた。個人的に「ダンザー・イン・ザ・ダーク」のような映画は大好物ですが、のほほんとしたタイトルとポスターでこれはズルい。騙されない人って居るの?

 僕が小学校5.6年生の時に同級生の女子が書籍版を読んでいたけれど、本作の主人公「おっこ」しかり、女子はメンタルが鬼ですね・・・

 

 タイトルからして、「小学生の両親が離婚して、祖母の家に引き取られて家業を継ぐドタバタコメディーなのかな~」と考えていましたが、いざ蓋を開けてみると

両親は交通事故により死亡。死の淵を彷徨っているおっこは、謎の幽霊に助けられ、一命を取り留める。祖母の家に引き取られ、助けてもらったお礼に若おかみデビュー。

ここまで上映開始からわずか三分。これ、幼稚園児が観たら泣くだろ・・・とツッコミを入れるが、そもそも何が起きたのか理解できないかもしれない。余りにも濃いスタート。

 

 両親を亡くしたにも関わらず、落ち込むことなく若おかみとして仕事をこなすおっこ。しかし、その原動力は、彼女の中で両親はまだ生き続けているからであった。夜目を瞑れば、温かく包み込んでくれる両親。

「なぁんだ、死んでなかったんだ」

 あっけらかんとした声でそう呟くおっこ。演出が本当に奇妙で、女児泣くよ。マジで。そう、ただおっこが鬼メンタルの持ち主ではなく、彼女の中で生きているから、落ち込まないだけなのだ。

 この描写から、僕は「そもそもおっこを取り巻く幽霊は、全て彼女が空想上で作り上げたものではないか?」と考えた。その後、それぞれの幽霊達は、とある無念から現世に居座っていると判明するものの、いくつ引っかかる点がある。

 

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音を立てたら死ぬけど、子作りはするぜ! 映画「クワイエット・プレイス」レビュー

クワイエット・プレイス

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 「音を立ててはいけない」という設定が面白そうだと公開前にSNSで話題になったものの、いざ公開されるとイマイチ盛り上がりに欠けるという、謎の現象が起きた映画。

実際、客席も3割程度しか埋まっていませんでした。

 最近では「カメラを止めるな」や「ペンギンハイウェイ」等、SNSでバズる映画が増えていますが、僕はほとんどステマだと思っています。いつから電通がクチコミを操作しないと錯覚していた・・・?

 それでも「若女将は小学生!」の劇場版は気になりますね。本当に今の時代は、クチコミを判断することが難しくなったなぁと感じます。

 

 音を出してしまうと、「何か」に襲われてしまう街で暮らす四人家族の話。

前半は音を出してはいけないので、当然BGMもなく、微かな衣擦れの音や裸足が砂を撫でる音だけが劇場に響き渡る。

 ホラー映画での「じらし」がずっと続いている状態なので、ちょっとしたハプニングでもめちゃめちゃビックリする。音を出さないようにする工夫も面白いし、前半はピリピリとした緊張感が本当に心地良かった。

 

 「このままどうやって逃げ切るのかな~」

と考えていると、何故か妻が妊娠する。

 いやいや、ストーリーに抑揚をつけるにしても、流石に子供作るのはおかしくね!?

音出したら死ぬし、実際一番下の弟亡くしてるよね!?

 正直、劇場の皆が心の中でツッコミを入れていたと思う。この辺りから、一気に緊張感が解けてしまった。

 

 僕としては、「何か」は目が見えないので音に反応する

→「何か」が目の前に現れたら、息を殺して防災訓練のようにうずくまればやりすごせるのでは?と考えていたが、普通に走って逃げる彼ら。

 妻が出産してからは、何を思ったか「何か」と戦う方向にシフトする一家。

なんだかんだその路線で上手くいく一家。どうやら夫が以前から、「何か」の弱点を探っていたそうな。それにしても、斧一本で立ち向かうのは無謀すぎるぜ親父・・・

突っ込み所は満載でしたが、ラストシーンは嫌いじゃないですね。

 個人的には、前半の張り詰めた緊張感の中で、いかにして街を脱出するか、といったストーリーが観てみたかったです。

 

 「IT」に興行収入は勝っていても、内容としては同じくらいの面白さだと思います。

やっぱりホラーにしょーもない人間ドラマは必要ないと、改めてわからされました。

最強の16歳 メンヘラ家出少年の実話「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

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主演:レオナルド・ディカプリオ(フランク・W・アバグネイル・Jr)

   トム・ハンクス(カール・ハンラティ)

監督:スティーヴン・スピルバーグ

 この映画は主人公フランクの自伝小説が原作なのですが、実話だとは到底思えない内容と、悲しくも納得できる人間ドラマが実に上手く、そしてテンポよく描かれていて、とても面白かったです。ジャンルとしては、人間ドラマに分類されるのかな?

あらすじ

 16歳の少年フランクは、父の会社の倒産や母の不倫をきっかけにバラバラになってしまった家族の現実を受け止められずに家出をする。行く当てもない彼だったが、ポケットには偶然父から誕生日に貰った50枚綴りの小切手が。

小切手詐欺を思いついた彼は何百万ドルも稼ぐが、FBI捜査官のカールに目をつけられ、世界を股にかけた鬼ごっこがスタートする・・・

 

 

 この映画の面白い所は、フランクの動機。彼は金さえあればまた家族が元に戻ると信じ、小切手詐欺を続けるも、母は別の家庭を築いていて、父は自分を認めてくれない。

そんな寂しさを紛らわすように、彼は女にモテようと考える。その為にパイロットや医者、弁護士に成りすまして小切手詐欺を続ける。

そう、ただフランクはただ寂しかっただけなのだ!

彼はFBI捜査官カールとの鬼ごっこを楽しんでいた。わざと自分の居場所を教えたり、本当の居場所を教えたにも関わらずどうせ嘘だろ?と無関心な態度をとられるとふてくされる彼の姿は、まさにメンヘラそのものである。

 メンヘラになる多くの原因は家庭環境によるものだが、本作にも当てはまる。フランクの場合、一時までは平穏な家族だったのが、会社の倒産をきっかけにドミノ倒しのように崩れていった。ここでフランクは、

「家族を壊したのは金なのだから、自分が金を稼げば元通りになる!」

と勘違いする。余る程稼いでも、修復不可能な傷跡を前に絶望するフランク。悲しきメンヘラ。やっぱり孤独は人を狂わせるんだな~と思いました。

 

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ステイサムが素手でサメと戦うのが面白すぎた「MEG ザ・モンスター」

MEG ザ・モンスター

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 正直僕は予告編を観た限り、「ジオストーム」のような映画だと思っていましたが、概ねその通りでした。しかし、違うのはネットでの評価。

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  ジオストームが3.7に対し、MEGは3.1。MEGの低評価レビューをざっと確認した限り、「中国が舞台、中国推しが気に食わない」といった内容がちらほら。

 確かにステイサムが元カノを差し置いて、現地のクルーと恋に落ちるのには多少違和感を感じましたが、よくあるパニック映画での恋愛と同じくスパイス程度でしかないので、個人的にはあまり気になりませんでした。

 

 あらすじとしては、5年前にメガロドンと遭遇し、二人のクルーを見殺しにして脱出した過去を持つステイサムが、再び現れたメガロドンを退治する話。

 冒頭では、ステイサムはレスキュー隊員で、復活したメガロドンに襲われた潜水艦を救いに向かいますが、閉じ込められたクルーの中になんと日本人が!

中国資本なので、パニック映画あるあるの「アジア人・黒人は真っ先に死ぬ」は当てはまらないもしれぬと期待しましたが、やはり英雄になってしまいましたね。世界は残酷だ・・・

 

 正直、サメ映画としては今作はとても真面目です。復活した「メガロドン」は、空を舞いませんし、機械と合体もしません。ただただ巨大な生ける化石として、クルーやビーチの観光客を襲います。

 真面目なサメ映画なんて退屈でしかないだろ!と考えるサメ映画ファンは大勢いると思いますが、この映画テンポが非常に良いです。近年のパニック映画と比べても、遥かにテンポが良い。 

 過去のトラウマ→繰り返される惨劇→自己中な投資家のフリとオチ→無能な現地人クルー→それを嫌な顔一つせずに助ける漢ステイサム→一般人まで巻き込む大事件に→ステイサムのサメ狩りがスタート

と、本当にテンポが良いです。

 

 もちろん、笑い所もあります。ビートたけしアウトレイジのような本人はマジメだけど、傍から観ると笑い所でしかないみたいな。

 僕のお気に入りシーンは、無能な現地の女クルーを救出する為に、ステイサムが酸素ボンベ一つで海に飛び込むシーンですね。流石に無茶すぎるだろ、と。劇場でも所々笑いが起きていましたね。特に左列に座っていた大学生集団。

 

 そして本作は「フリ」と「オチ」が丁寧な点がポイント高いですね。メガロドンを倒し、死骸に顔を突っ込み記念撮影を試みるクルー。

「いや絶対こいつ生きてるパターンですやん」

と思いきや・・・そうではなかった。

 来るぞ来るぞと身構えている僕をじらし、斜め上からオチをつけるメガロドン。なんともないシーンでも冷や冷やさせられましたが、これこそがパニック映画の醍醐味だよな~なんて思いました。

 

 それでもやっぱり、海洋学者の娘でイキるくせに無能な現地女クルーは少しうざったかったですね。ステイサムもよくもまぁ何度も助けるよ、うん。

そこから恋仲になる展開は少々強引すぎる気もしましたが、作品全体としてのテンポが良いのでギリギリ許容範囲ですね。

 

 そんな訳で、心内評価3.8/5です。

テンポが非常に良い、ステイサムの馬鹿マジメなギャグ要素、フリとオチが丁寧なのがアド。強引なヒロイン推しはディスアド。

 ヒットしているので、大きな期待を抱き劇場へ足を運ぶ人がネットでちらほら見られましたが、あまり期待しない方がオトクだと思います。本当に「ジオストーム」を観にいく位の気持ちで鑑賞しましょう。

 

成長とは

 今日も、良い意味で言動や行動が同年代と比べて少し大人びている、と褒められた。正直生きていて褒めれられることはそうそうない分悪い気は全くしないのだが、違和感を抱くのは毎度のことである。

 僕は本当に子どもだとつくづく思う。まるで自分の人生を他人事のように舵を切っていて、責任を負うのが大嫌い。都合が悪くなったり決断のリミットが迫れば現実逃避を繰り返す。子どもどころか、まるで赤ちゃんだ。

 他人にはさも自分の事柄かのようにアドバイスをしたり寄り添って思考する、出来る癖に、自分のこととなるとテンで駄目だ。
親には数えきれない程無責任だと言われてきたが、自分でも本当に無責任な人間だと思う。

 そんなことを考えていると、夏の終わりも相まってナーバスになってしまった。そんな僕が現実逃避する場所は、決まって映画館。
 つい昨日宿題に全く手をつけていない弟と遊園地で遊んだばかりなのに、どうしても夏を終わらせたくない僕。最後の抵抗だ。

 鑑賞した作品は、「ブリグズビー・ベア
25歳の主人公が、実の親ではなく誘拐犯に25年間もの間育てられていた、と知る。
 肉親の元に戻るものの、幽閉されていた彼の唯一の情報源「ブリグズビー・ベア」という教育番組のことをどうしても忘れることが出来ず、うまく家族と馴染めずにいる彼だった。
そんな中、妹とパーティーに参加したことをきっかけに、友人をつくり、やりたいことを見つけ成長していく・・・といったストーリー。
 
 この映画の内容を要約すると、25年間引きこもってたけど、外の世界に出て友達作ればなんとかなるぜ!ってこと。そんな内容とメッセージは陰キャオタクの僕にはあまりにも眩しく、日を浴びたドラキュラのように僕は灰と化した。

 夜の生暖かい渋谷の街を歩いていると、昔塾の先生が退職時にくれたメッセージカードのことをふと思い出した。
 「人は、人と関わっていくことでしか成長できないので、これからもたくさんの人に囲まれて酸いも甘いも色々な経験をして素敵な男性になってね。」
 この一文は定期的にフラッシュバックするのだが、映画の内容とマッチして考えざるを得なくなった。
 
 毎度のことなので、手順は大体決まっている。まずは、
「あの時と比べて成長できているだろうか?」
と考える。答えは半分YES。

 バイトやらで長いものに巻かれるようになったのは、良くも悪くも成長した証なのでは、と考えるからYES+1
 でもただのコミュ障な部分があるのでYes-0.5
 「たくさんの人に囲まれて酸いも甘いも色々な経験をして」後半は色んな意味でYes+1
 「たくさんの人に囲まれて」は満たしていないのでYes-1

 よって、答えは半分YES。

 それにしても本当に的を射た人生の先輩からのメッセージだな、とつくづく思う。
「人は、人と関わっていくことでしか成長できない
これは本当にその通りで、僕自身の課題だな、と思う。

 今日鑑賞した映画の主人公も、友人や周囲の環境を通して成長していき、自分の道を切り開いていた。一人なら、絶対に到達することができない道を。

 僕にも、そんな人生のパートナーが居ればな、と帰りの電車内で考えていた。別に彼女とかじゃなくて、互いに心を許し合える友人・・・いや、僕にも一人だけ居た。それは弟。

 彼女や友人をも凌ぐ究極の関係、弟。彼も僕と同じくメンヘラ傾向があるらしいが、僕がいると気持ちが和らぐそうだ。こんなダメ兄貴でも、心は通じ合っているようだ。

 弟となら、なんだって出来る気がするな・・・そんな暖かな妄想を抱きながら、今日も眠りにつくのだ。

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