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【書評】子は親を救うために「心の病」になる

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 親父がアスペっぽいのと暗い学生生活を過ごした私は度々メンヘラ本を読むのですが、今回書評する「子は親を救うために『心の病』になる」はタイトルのインパクト、内容に普遍性が備わっている、著者が精神科医。この三点で購入を決めました。

 本書は診療での会話も織り交ぜて説明が進んで行くので、実際のケースを淡々と説明していく本とは違ってとにかく読みやすい。構成は1章から5章まであり、1章と2章は一般的なケース、3章と4章は稀なケース、5章で全ての人間に共通する存在について、と幅広い読者へ配慮した完璧な構成。読み物としてもおもしろいものに仕上がっている。


 Q.何故親は子を救うために心の病になるのか?
A.子どもの抱える心の病は、親から受け継いだ「心の矛盾」が子のなかに生み出した病だから。

 子は2.3歳になると第一反抗期になり、生まれて初めて自由を獲得する。
行動の自由を手に入れた子どもは、思春期までの約10年間、親の生き方を学び、価値観を取り入れ、社会を理解する「学童期」になる。

 ここで問題となるのが、子どもは12歳のころまでは、無心に親を真似て、親を信じて疑わない。しかし親も完璧ではないので、気持ちの偏りや嘘、悪い気持ち、間違った生き方を抱えている。こどもはそういった親の「心の矛盾」もまるごとコピーしてしまう。抱え込んだ心の矛盾は、思春期になって爆発する。

 この爆発は、これから自立しようとする時に、受け継いだ苦しみを解決しておきたい。しかし、自分の苦しみがとれるためには、親の「苦しみ」がとれないといけない。親は長年心の矛盾を封印してきた。その封印を解くために、子は「心の病」になる。

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権力で人は簡単に変わってしまうんやなって

 先日、日曜深夜のドキュメンタリー「NNNドキュメント」(日本テレビ)内で防衛大学校が取り上げられました。普段は30分の番組ですが、テーマがテーマなだけに一時間の放送。

 NNNドキュメントは「吉崎オリィ」氏によるロボットを使った孤独の解消が最近では記憶に新しいですが、そんなポジティブな回とは打って変わって今回はタイトルの時点で既に暗い。ただ怖いものみたさというか、相手が国家機関なだけに興味はそそられますね。はてなブログでも警察官クビになってからブログは人気ですし。

 

 簡単なあらすじとして、主人公のNさんは先輩や同期から常軌を逸したいじめを受けた。いじめは学生間で日常と化しており、Nさんが裁判を行った際に行われたアンケートオでは、『体毛を燃やしたことがある』という限定的な質問に対してやった33人やられた144人等異常な解答が並ぶ。教官に助けを求めようとも、彼らは見てみぬふりを貫くので八方塞がりだ。何故暴力はなくならないのか・・・

 

 私が興味をそそられたのは、防衛大学校に存在する徹底的な上下関係のシステムです。防衛大には四つの大隊、その下にそれぞれ四つの中隊、そしてそれぞれに三つの小隊が構成されていて、先輩後輩という単純なこと以外にも上下関係が存在する訳です。

 先日「自転車日本一周」で世間を騒がせた彼も、脱走した原因として囚人間で形成された人間関係に疲れたとコメントしています。彼の過ごしていた刑務所内では社会復帰を目的とした独自のシステムがあり、事件後廃止されたようですが、防衛大ではそもそも人数の問題で教官が全てを統率するのは難しそうに思えます。失くすにも失くせないんでしょうね、そういった上下関係は。

 

 ドキュメンタリーはどんなに複雑な問題を取り扱っていても、大抵は単純でそれ故に複雑なテーマというか、生き抜くことの難しさをいつも考えさせられます。

 今回は権力を持つと人は簡単に変わっちゃうよねってことを感じました。

 

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創作における「ループもの」について

 ループもの、好きですか?僕はあまり好きではないです。世界を改変すればする程事態は悪化するけれど、ラストで結局救われるってのが気に食わないんですよね。

主人公が平行世界に取り残される、というBADエンドも出発点の世界を救っていたりするので、本当に胸糞で落とす創作って意外と少ないのでは?と度々考えます。単純に僕が浅いだけかもしれませんが。


 僕は「シュタインズゲート」があまり好みではないです。
ゲーム版やらには一切手を出していないアニメキッズの僕だけれど、どうしても「タイムマシン」という絶対的な存在に依存していることがどうも胸に引っかかる。

 中盤の主人公がどちらか一人のヒロインを助けるともう一人が死ぬ、という死の選択を迫られる展開は私のお気に入りで、全話視聴した後も勿論面白いと感じたけれど、何故か腑に落ちなかった。
 確かにタイムマシンは気に入らないけれど、「BTTF」シリーズなんかは好きなんですよ。僕がただのコメディ好きというのもありますが、どうもモヤモヤする。

自分でももはやなにが不満だったのか忘れる程のループものに対しての問い、それが「バタフライ・エフェクト」と出会ったことにより僕なりの解答が出た。

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感動ポルノ「アイ・アム・サム」を観て吐いた話

アイ・アム・サム

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 今月の頭にBS12で放送された「アイ・アム・サム」の録画を消化したのですが、胸が気持ち悪い空気でいっぱいになってしまったので、ここで吐き出せさて下さい。前知識としては、障害がテーマらしい、ネットでの評価が高い(yahoo映画4.2/5)という点は知っていて、あらすじは全く知らない状態で鑑賞しました。

 

 ざっくりあらすじを説明すると、知的障害を抱える父「サム」が、ホームレスの女が出産した娘と、二人で生活することになります。(母は、開始早々「子供なんて欲しくなかった」と、出ていきます。)

なんやかんやあって7歳になったルーシー(クソ忙しい育児の時期は飛ばされ)は、サムの知能を追い抜いてしまします。それをみかねた地域のソーシャルワーカーが、サムには父親としての能力が足りないとして、ルーシーは施設に送られ二人は離れ離れになってしまいます。はたして、サムは愛する娘を施設から取り戻すことが出来るのか!?というのが大まかな流れです。
 いくつかひっかかったポイントがあるので、順を追って説明します。

①変に都合が良いせいで、社会派映画ではなくただの感動ポルノになっている

 前半は、やはり知的障害の壁がサムに立ちはだかり、暗い場面が続きます。娘がサムに気を遣って文字が読めないふりをしたり、弁護士がとりあってくれなかったりと、冷たくも現実的なシーンが続きます。

 個人的に、障害をテーマにした映画で感動モノだと「チョコレートドーナツ」とかは好きなんですよ。そちらはゲイのカップルが育児放棄されたダウン症の子どもをひきとるものの、やはりソーシャルワーカーに引き離されてしまうといった物語なのですが、「楽しいシーンは楽しい」んですよ。ラストは滅茶苦茶暗いものの、障害を抱えた本人が二人と触れ合うことで、ポジティブな気持ちになったり、成長する過程がしっかりと描かれています。

 

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映画「若おかみは小学生!」考察 何故おっこはメンタルが鬼強いのか?

若おかみは小学生!

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 SNS上で本作が話題になり始めた頃、新宿バルト9での上映は一番小さいスクリーンで午前の一上映のみと、鑑賞が非常に困難でしたが、ふとHPを確認するとドでかいスクリーンで一日六回の上映に増えているではないか。これは足を運ばない理由がない。

 上映前はプリチャンの映画を観にいくようなテンションでした。が、余りにも児童書の映画化とは思えない暗いストーリーが始まり、完全に出鼻を挫かれた。個人的に「ダンザー・イン・ザ・ダーク」のような映画は大好物ですが、のほほんとしたタイトルとポスターでこれはズルい。騙されない人って居るの?

 僕が小学校5.6年生の時に同級生の女子が書籍版を読んでいたけれど、本作の主人公「おっこ」しかり、女子はメンタルが鬼ですね・・・

 

 タイトルからして、「小学生の両親が離婚して、祖母の家に引き取られて家業を継ぐドタバタコメディーなのかな~」と考えていましたが、いざ蓋を開けてみると

両親は交通事故により死亡。死の淵を彷徨っているおっこは、謎の幽霊に助けられ、一命を取り留める。祖母の家に引き取られ、助けてもらったお礼に若おかみデビュー。

ここまで上映開始からわずか三分。これ、幼稚園児が観たら泣くだろ・・・とツッコミを入れるが、そもそも何が起きたのか理解できないかもしれない。余りにも濃いスタート。

 

 両親を亡くしたにも関わらず、落ち込むことなく若おかみとして仕事をこなすおっこ。しかし、その原動力は、彼女の中で両親はまだ生き続けているからであった。夜目を瞑れば、温かく包み込んでくれる両親。

「なぁんだ、死んでなかったんだ」

 あっけらかんとした声でそう呟くおっこ。演出が本当に奇妙で、女児泣くよ。マジで。そう、ただおっこが鬼メンタルの持ち主ではなく、彼女の中で生きているから、落ち込まないだけなのだ。

 この描写から、僕は「そもそもおっこを取り巻く幽霊は、全て彼女が空想上で作り上げたものではないか?」と考えた。その後、それぞれの幽霊達は、とある無念から現世に居座っていると判明するものの、いくつ引っかかる点がある。

 

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音を立てたら死ぬけど、子作りはするぜ! 映画「クワイエット・プレイス」レビュー

クワイエット・プレイス

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 「音を立ててはいけない」という設定が面白そうだと公開前にSNSで話題になったものの、いざ公開されるとイマイチ盛り上がりに欠けるという、謎の現象が起きた映画。

実際、客席も3割程度しか埋まっていませんでした。

 最近では「カメラを止めるな」や「ペンギンハイウェイ」等、SNSでバズる映画が増えていますが、僕はほとんどステマだと思っています。いつから電通がクチコミを操作しないと錯覚していた・・・?

 それでも「若女将は小学生!」の劇場版は気になりますね。本当に今の時代は、クチコミを判断することが難しくなったなぁと感じます。

 

 音を出してしまうと、「何か」に襲われてしまう街で暮らす四人家族の話。

前半は音を出してはいけないので、当然BGMもなく、微かな衣擦れの音や裸足が砂を撫でる音だけが劇場に響き渡る。

 ホラー映画での「じらし」がずっと続いている状態なので、ちょっとしたハプニングでもめちゃめちゃビックリする。音を出さないようにする工夫も面白いし、前半はピリピリとした緊張感が本当に心地良かった。

 

 「このままどうやって逃げ切るのかな~」

と考えていると、何故か妻が妊娠する。

 いやいや、ストーリーに抑揚をつけるにしても、流石に子供作るのはおかしくね!?

音出したら死ぬし、実際一番下の弟亡くしてるよね!?

 正直、劇場の皆が心の中でツッコミを入れていたと思う。この辺りから、一気に緊張感が解けてしまった。

 

 僕としては、「何か」は目が見えないので音に反応する

→「何か」が目の前に現れたら、息を殺して防災訓練のようにうずくまればやりすごせるのでは?と考えていたが、普通に走って逃げる彼ら。

 妻が出産してからは、何を思ったか「何か」と戦う方向にシフトする一家。

なんだかんだその路線で上手くいく一家。どうやら夫が以前から、「何か」の弱点を探っていたそうな。それにしても、斧一本で立ち向かうのは無謀すぎるぜ親父・・・

突っ込み所は満載でしたが、ラストシーンは嫌いじゃないですね。

 個人的には、前半の張り詰めた緊張感の中で、いかにして街を脱出するか、といったストーリーが観てみたかったです。

 

 「IT」に興行収入は勝っていても、内容としては同じくらいの面白さだと思います。

やっぱりホラーにしょーもない人間ドラマは必要ないと、改めてわからされました。

最強の16歳 メンヘラ家出少年の実話「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

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主演:レオナルド・ディカプリオ(フランク・W・アバグネイル・Jr)

   トム・ハンクス(カール・ハンラティ)

監督:スティーヴン・スピルバーグ

 この映画は主人公フランクの自伝小説が原作なのですが、実話だとは到底思えない内容と、悲しくも納得できる人間ドラマが実に上手く、そしてテンポよく描かれていて、とても面白かったです。ジャンルとしては、人間ドラマに分類されるのかな?

あらすじ

 16歳の少年フランクは、父の会社の倒産や母の不倫をきっかけにバラバラになってしまった家族の現実を受け止められずに家出をする。行く当てもない彼だったが、ポケットには偶然父から誕生日に貰った50枚綴りの小切手が。

小切手詐欺を思いついた彼は何百万ドルも稼ぐが、FBI捜査官のカールに目をつけられ、世界を股にかけた鬼ごっこがスタートする・・・

 

 

 この映画の面白い所は、フランクの動機。彼は金さえあればまた家族が元に戻ると信じ、小切手詐欺を続けるも、母は別の家庭を築いていて、父は自分を認めてくれない。

そんな寂しさを紛らわすように、彼は女にモテようと考える。その為にパイロットや医者、弁護士に成りすまして小切手詐欺を続ける。

そう、ただフランクはただ寂しかっただけなのだ!

彼はFBI捜査官カールとの鬼ごっこを楽しんでいた。わざと自分の居場所を教えたり、本当の居場所を教えたにも関わらずどうせ嘘だろ?と無関心な態度をとられるとふてくされる彼の姿は、まさにメンヘラそのものである。

 メンヘラになる多くの原因は家庭環境によるものだが、本作にも当てはまる。フランクの場合、一時までは平穏な家族だったのが、会社の倒産をきっかけにドミノ倒しのように崩れていった。ここでフランクは、

「家族を壊したのは金なのだから、自分が金を稼げば元通りになる!」

と勘違いする。余る程稼いでも、修復不可能な傷跡を前に絶望するフランク。悲しきメンヘラ。やっぱり孤独は人を狂わせるんだな~と思いました。

 

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