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最強の16歳 メンヘラ家出少年の実話「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

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主演:レオナルド・ディカプリオ(フランク・W・アバグネイル・Jr)

   トム・ハンクス(カール・ハンラティ)

監督:スティーヴン・スピルバーグ

 この映画は主人公フランクの自伝小説が原作なのですが、実話だとは到底思えない内容と、悲しくも納得できる人間ドラマが実に上手く、そしてテンポよく描かれていて、とても面白かったです。ジャンルとしては、人間ドラマに分類されるのかな?

あらすじ

 16歳の少年フランクは、父の会社の倒産や母の不倫をきっかけにバラバラになってしまった家族の現実を受け止められずに家出をする。行く当てもない彼だったが、ポケットには偶然父から誕生日に貰った50枚綴りの小切手が。

小切手詐欺を思いついた彼は何百万ドルも稼ぐが、FBI捜査官のカールに目をつけられ、世界を股にかけた鬼ごっこがスタートする・・・

 

 

 この映画の面白い所は、フランクの動機。彼は金さえあればまた家族が元に戻ると信じ、小切手詐欺を続けるも、母は別の家庭を築いていて、父は自分を認めてくれない。

そんな寂しさを紛らわすように、彼は女にモテようと考える。その為にパイロットや医者、弁護士に成りすまして小切手詐欺を続ける。

そう、ただフランクはただ寂しかっただけなのだ!

彼はFBI捜査官カールとの鬼ごっこを楽しんでいた。わざと自分の居場所を教えたり、本当の居場所を教えたにも関わらずどうせ嘘だろ?と無関心な態度をとられるとふてくされる彼の姿は、まさにメンヘラそのものである。

 メンヘラになる多くの原因は家庭環境によるものだが、本作にも当てはまる。フランクの場合、一時までは平穏な家族だったのが、会社の倒産をきっかけにドミノ倒しのように崩れていった。ここでフランクは、

「家族を壊したのは金なのだから、自分が金を稼げば元通りになる!」

と勘違いする。余る程稼いでも、修復不可能な傷跡を前に絶望するフランク。悲しきメンヘラ。やっぱり孤独は人を狂わせるんだな~と思いました。

 

 

 直接関係はないかもしれませんが、監督のスピルバーグも幼い頃に両親の離婚を経験しているので、そういった家族間の心理描写がとても上手く描けているな、と思いました。離婚してからも、両親には普通に会いに行くのか~とか、やっぱり家族が大好きだったんだな~、と思わずフランクのキャラクターに感情移入していました。

そんな本人の魅力があったからこそ、詐欺が成功していたのかな?なんて思ったり。

  そんな天才フランクは妙に機転が利きます。そもそも小切手詐欺が成功したのも、たまたま前を通りがかったCAに囲まれるパイロットを目にした時に

パイロットには信用があるから、成りすませば換金できんじゃね?」

という閃きがあったからこそで、その後も司法試験に二週間の勉強のみで合格したり、要領の良さも兼ね備えている。そんな天才の原動力は、愛していた家族・・・あぁ、なんと悲しき物語なのでしょうか。壊れたメンヘラは、怖い。

 

 個人的にディカプリオはあまりタイプではなかったのですが、こういった天才キャラを演じる彼はアリかな、と思いました。「ウルフ・オブ・ウォールストリート」とか良いですよね。でもやっぱりトム様が一番なんだよなぁ・・・

 本作のトム・ハンクスは超仕事出来るマジメ捜査官なのですが、実は彼も離婚を経験していてフランクに優しい一面があったり(役柄で)、コメディーなしでも充分マッチしていました。同じくスピルバーグ監督トム・ハンクス主演の「ターミナル」も本当に面白いので、おすすめです。

 

 やっぱりスピルバーグはすごいや、と改めて思いましたね。本当に凄い。本作ではフランクが無双しまくる姿が描かれていますが、どうやら原作では刑務所で味わった地獄や巧妙なトリックの為に費やした努力等、人間らしい一面も描かれているそうです。

 「天才」という言葉は、生まれながらにして敵なしといった意味で使われることが多いですが、そういった意味での天才なんて存在しないのではないか。人は誰しもなにかしら欠けているものがあるというか、そんなことも考えさせられる作品でした。非常に面白かったです。心内評価4/5

 現在、アマゾンプライム会員なら「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」が無料で視聴出来ます。ターミナルはつい先日対象外になってしまいましたが・・・

画像がアマゾンビデオのリンクになっています。