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映画「若おかみは小学生!」考察 何故おっこはメンタルが鬼強いのか?

若おかみは小学生!

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 SNS上で本作が話題になり始めた頃、新宿バルト9での上映は一番小さいスクリーンで午前の一上映のみと、鑑賞が非常に困難でしたが、ふとHPを確認するとドでかいスクリーンで一日六回の上映に増えているではないか。これは足を運ばない理由がない。

 上映前はプリチャンの映画を観にいくようなテンションでした。が、余りにも児童書の映画化とは思えない暗いストーリーが始まり、完全に出鼻を挫かれた。個人的に「ダンザー・イン・ザ・ダーク」のような映画は大好物ですが、のほほんとしたタイトルとポスターでこれはズルい。騙されない人って居るの?

 僕が小学校5.6年生の時に同級生の女子が書籍版を読んでいたけれど、本作の主人公「おっこ」しかり、女子はメンタルが鬼ですね・・・

 

 タイトルからして、「小学生の両親が離婚して、祖母の家に引き取られて家業を継ぐドタバタコメディーなのかな~」と考えていましたが、いざ蓋を開けてみると

両親は交通事故により死亡。死の淵を彷徨っているおっこは、謎の幽霊に助けられ、一命を取り留める。祖母の家に引き取られ、助けてもらったお礼に若おかみデビュー。

ここまで上映開始からわずか三分。これ、幼稚園児が観たら泣くだろ・・・とツッコミを入れるが、そもそも何が起きたのか理解できないかもしれない。余りにも濃いスタート。

 

 両親を亡くしたにも関わらず、落ち込むことなく若おかみとして仕事をこなすおっこ。しかし、その原動力は、彼女の中で両親はまだ生き続けているからであった。夜目を瞑れば、温かく包み込んでくれる両親。

「なぁんだ、死んでなかったんだ」

 あっけらかんとした声でそう呟くおっこ。演出が本当に奇妙で、女児泣くよ。マジで。そう、ただおっこが鬼メンタルの持ち主ではなく、彼女の中で生きているから、落ち込まないだけなのだ。

 この描写から、僕は「そもそもおっこを取り巻く幽霊は、全て彼女が空想上で作り上げたものではないか?」と考えた。その後、それぞれの幽霊達は、とある無念から現世に居座っていると判明するものの、いくつ引っかかる点がある。

 

 ①妖怪が成仏しない

Angel Beats! 」や「あの花」では成仏してラストを迎えるが、本作では「見えなくなって」終わる。若おかみとして成長する一方で、日に日に彼らが見えなくなって行くおっこ。幽霊達はその事実に悲しみつつも、成長したのだから仕方ないと納得していた。

「一人にしないで!」と泣き叫ぶおっこの前に現れるも、彼女の瞳には何も映らない。

 この成長するにつれて姿が消えて行くというのは、幼少期のイマジナリーフレンドと似ていて、発生した原因も両親の交通事故による心的外傷と考えると納得がいく。

 「成仏」しないということは、おっこ自身の深層心理に還ったのでは、と僕は考えました。まぁ、本作は脚本がしっかりしているので、この考察自体、僕のただの妄想にすぎないんですがね・・・幽霊自身が、ゆっこ以外の外界と繋がりを持っていると作中で明らかになっているので。

 

 ②おっこの繰り返されるフラッシュバック

おっこの事情を知ったお客さんが気晴らしにショッピングに誘ってくれるシーンがあるのですが、高速道路を走っていると事故の光景がフラッシュバックし、過呼吸になってしまいます。

徐々に呼吸が小刻みになると同時に、事故当時の映像が繰り返される演出は、本気で僕らを殺しにかかってます。こっちがPTSDになっちゃうよ。

 逆に思い出さなかったらそれはそれでおかしな話なのですが、その後幽霊に助けを強く求め、見守られていることを確認すると症状が収まります。このことから、彼女が自らを守る為に作りだしたイマジナリーフレンドだとも考えられます。

 

 僕が本作を鑑賞している中で、常に頭に引っかかっていたことが、「何故彼女はここまでメンタルが鬼強いのか?」でした。

 もちろん上記のPTSDによるイマジナリーフレンド説も考えられなくもないですが、一番自分の中で納得できた答えは、「若おかみというアイデンティティーが芽生えたから」です。

 若おかみになるといっても、まだまだ見習いなので間違いをやらかしてしまうおっこ。そんなドジなおっこを温かく見守る幽霊達。そんな微笑ましい日々の中で、旅館の激務をこなしながら、若おかみとして成長して行くおっこ。現実世界で居場所が出来て、ネットを卒業するオタクに似たものを感じます。なんだかんだ、人に必要とされると嬉しいものですからね。

 幽霊が見えにくくなるポイントがありまして、それが年に一度行われる舞踊に選ばれてからです。ペアの同級生は完璧に踊るので、必死に追いつこうと頑張るおっこ。

 僕はまだまだ子供なのでよくわかりませんが、単純に忙しくなって自問自答なんてしている暇がなくなったその時こそが、大人になるということなのではないか、と考えます。

 彼女の中で自分を認めてくれる存在が今までは両親だったのが、幽霊になり、そして若おかみとしてのお客さんの笑顔になったんでしょうね。小学校の同級生もお店の手伝いをしていたり、伊豆の小学生って皆タダ働きしているんですかね?素直に尊敬します。

 僕はアルバイトを接客業しか経験したことがないのですが、おっこのようにお客さんの為に頑張ろうだとか、ありがとうと言われたいから仕事を頑張ろうと考えたことは、一度もないです。おっこにまだ小学生の純粋さが残っているからこそ成り立っているのであって、数年後はわからないと思います。実際僕は、家業とは無縁なのでその辺りは良くわかりませんが・・・。そんな考えの僕だからこそ、おっこには素直に尊敬します。

 

 僕は子供のメンタルヘルスの観点から鑑賞しましたが、人によっておっこの捉え方は様々だと思います。SNSでバズったのも、こういった議論が行いやすいからかもしれませんね。皆さんの瞳には、おっこはどのように映りましたか?

 精神衛生が不安定な方は、ある程度の覚悟が必要です。

 

 僕はクソザコメンタルなので、暗い映画を観ると、いつも何も出来ない自分と比べてしまって、自己嫌悪の渦に飲まれるんですよね・・・好きなジャンルではあるのですが。映画だと、「ティエリー・ドグルドーの憂鬱」とか好きです。最近観た「ナイトクローラー」も、清々しい程の胸糞で良かったですね。

 

  鑑賞当日は、午前中に録画したおくりびとを鑑賞した後だったので、何かの運命を感じました。僕みたいなうんこ製造機でも、わざわざ死に急ぐ必要はないのかな・・・と、なんだかポジティブなれた一日でした。今日も一日、がんばるぞい!